名前はまだ無い。
どこで生まれたかとんと検討がつかぬ。
何でも、生暖かいポケットの中でプルプル泣いていた事だけは記憶している。
吾輩はそこを出て、始めて亀頭というものを見た。
しかもあとで聞くとそれはカリ高という、亀頭の中で一番獰悪な種族であったそうだ。
この亀頭というのは、時々我々を捕つかまえて貫くという話である。
しかし穴である我輩は何という考もなかったから、別段恐しいとも思わなかった。
そして亀頭は言う。
「きもちい! ポケットTENGAきもちい!」
言って、先端からぷうぷうと液体を吐く。
どうも粘ぽくて実に弱った。これが子宮の飲む精子こというものである事はようやくこの頃知った。
加えて、我輩がポケットTENGAという名前だともこの時悟った。
亀頭が離れた後、もともと着ていた服を再び着て、またもポケットに沈められる。
どうやら、役目が終わったようだ。
姿は見えぬが、亀頭の声がする。
「ポケットTENGA、228円+税。安いね」
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